研究内容

薬物の代謝・排泄に関わる核内受容体の活性制御

~抗がん剤抵抗性の獲得機構の解明をめざして~

PXR (pregnane X receptor) やCAR (Constitutive androstane receptor)は、外来の低分子異物に対するセンサーとして機能するタンパク質であり、様々な医薬品によって活性化されます。PXR (pregnane X receptor) やCAR (Constitutive androstane receptor)が活性化されると、薬物の代謝・排出に関わるタンパク質の活性が亢進します。がん細胞の中には、PXRやCARを発現しているものがあります。パクリタキセルなど一部の抗がん剤は、PXR活性化作用を有しています。一部のがんは、PXRの活性化を介して抗がん剤に対する抵抗性を獲得しています。実際、PXR阻害物質を添加することで、がん細胞の抗がん剤感受性が高まることが報告されています (Chen, Nat. Commun. 2017, 8:741)。薬を作るうえで、PXRやCARを活性化する作用がある物質を避けることが必要になります。現在までのところ、どのような化学的特徴がPXRやCARの活性を調節する作用を有する物質になり得るかはわかっておらず、化学構造からあらかじめ予測することは困難です。そのような背景のもと、私たちは石川県立大と共同で以下の研究に取り組んでいます。

①    PXRおよびCARを活性化する作用がある化合物を迅速に評価する手法の開発

②    PXRおよびCARの活性を調節機構に関する構造生物学的研究

③    PXRおよびCARの活性を調節する物質の予測に向けた構造活性相関研究

④    PXRおよびCARの活性を調節する物質の食品成分からの探索

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